製造業でなくても、「生産性を高める取り組み」や「システム導入の計画」で、申請できます!
製造業が対象だと思われがちですが、実は幅広い業種が対象となっているため、一度検討してみるとよいかもしれません。
正式名称は「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」といいます。
それでも、どんな業種が対象なのか、どんな経費が対象なのか、わかりにくいですよね。
今回は、「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」について説明していきたいと思います。

目次
1. ものづくり補助金とは
2. 製造業以外も利用できる
3. 申請枠・類型
4. 補助率と補助金額
5. 補助対象経費
6. 申請の流れ
7. スケジュール
8. よくある質問について
9. まとめ
|ものづくり補助金とは?

ものづくり補助金は、日本国内の企業が成長し、その利益を労働者に還元するという循環を促すことを最終目標としており、雇用の多くを占める中小企業等がこの目標を達成できるように支援しする制度です。
つまり、生産性向上や持続的な賃上げのために必要な「革新的な製品・サービスの開発」や「生産プロセス等の省力化」にかかる設備投資等を支援してくれる制度です。
|製造業以外も利用できる

ものを作らない業種でも、生産性を向上させる取り組みやシステム導入の計画によって申請することができます。対象者となるには、事業規模と申請要件の2つの条件を満たす必要があります。
この2つをクリアしていれば、個人事業主や事業組合に所属の組合員、特定非営利活動法人(NPO法人)、社会福祉法人も対象です。
■ 事業規模

※以下に該当する場合は申請でできません
・過去3年間で2回以上ものづくり補助金の交付決定を受けた事業者
・大企業とみなされる、みなし大企業
■ 申請要件
● 基本要件
以下を満たす3~5年の事業計画が必要です。
・付加価値額:年平均成長率+3%以上増加
・給与支給総額:年平均成長率+1.5%以上/年
・事業場内最低賃金 ≧地域別最低賃金+30円以上
※付加価値額=営業利益+人件費+減価償却費
● 追加要件
申請枠ごとに、追加の要件もあります。
(例)製品・サービス高付加価値枠「通常類型」
新製品・サービスの売上高の合計額が、企業全体の売上高の10%以上となる事業計画の策定
|申請枠・類型

今まで、多くの事業者が利用していた「通常枠」というものがなくなり、3つの枠の中の1つに「通常類型」ができました。これが、今までの「通常枠」と同じようなものとなっています。
■ 製品・サービス高付加価値枠
【通常類型】
革新的な製品・サービス開発の取り組みに必要な設備・システム投資等を支援
【成長分野進出類型】
今後成長が見込まれる分野(DX・GX)に資する革新的な製品・サービス開発の取組みに必要な設備・システム投資等を支援
■ 省力化(オーダーメイド)枠
人手不足の解消に向けて、デジタル技術等を活用した専用設備(オーダーメイド設備)の導入等により、革新的な生産プロセス・サービス提供方法の効率化・高度化を図る取り組みに必要な設備・システム投資等を支援
■ グローバル枠
海外事業を実施し、国内の生産性を高める取組みに必要な設備・システム投資等を支援
|補助率と補助金額

申請枠ごとに補助率と補助金額は異なっています。
・補助金額:補助される金額の範囲補助枠補助金額
・補助率:補助対象経費のなかで補助される割合

|補助対象経費

補助対象経費は、機械装置およびシステム構築費など、設備投資に関わるものです。
そのため、50万円以上(税抜き)の設備投資が必要です。
また、設備投資に関わる費用としてコンサルティング料金などの専門家経費やクラウドサービス費用も補助されます。

※グローバル枠のみ
【農業の例】
農家の人が肥料散布機を挿入する場合、機械装置費はもちろんのこと、関連する運搬費も補助対象。
【建設業の例】
建設業の人がICTシステム導入をする場合、専門家に関連する相談をするのであれば専門家経費も補助対象。
|申請の流れ

申請する前に、大まかな流れを確認しておきましょう。
① 公募要領の確認
まずは、公募要領(ルールブック)をよく読みましょう。
そこには、申請の際のルールや申請手順が書いてあります。
公募要領に沿って申請しなければ、不採択となってしまう可能性があるので注意が必要です。
変更があったりするので、最新の公募要領を公式サイトでチェックしましょう。
② 事業計画書などの必要書類の用意
● 事業計画書や賃金引き上げの誓約書などの必要書類を用意する
必要書類は、申請する枠などによって異なります。
● 補助対象経費の調査や見積書を取得をする
補助対象経費には、利用したい製品やサービスの金額を記入します。
申請の際は見積書の提出は必要ありませんが、記入した金額が相場とかけ離れている場合は、
不採択となる可能性があります。
見積もりを取得するのに時間がかかる可能性もあるため、早めに準備しておきましょう。
③ 電子申請システムから申請
電子申請システムのみの受付です。
申請の際は、「GビズIDプライム」というアカントが必要なので、お持ちでない事業者は早めに取得しておきましょう。
●「GビズIDプライム」登録方法
①スマートフォンか携帯電話(SNS受信のため)、 印鑑証明書(法人)or 印鑑登録証明書(個人事業主)、登録印を準備する
②パソコンにてGビズIDプライム申請書を作成する
③申請書を印刷し・押印する
④申請書と印鑑(登録)証明書をGビズID運用センタ―へ郵送する
⑤1週間程度で審査完了メール受け取り
⑥審査完了メールを確認し、パスワード登録を完了させ、ID登録完了
審査については、書類に問題がない場合は1週間程度でアカウントを発行されます。
詳しくは、「gBizID作成サイト」のこちらをご覧ください。↓

|スケジュール

- 公募開始:2024年 1月31日(水)17時~
- 申請受付:2024年3月1 1日(月)17時~
- 申請締切:2024年3月27日(水)17時まで

ものづくり補助金総合サイト「公募要領(18次締切分) 概要版」より
|よくある質問について

Q.採択倍率はどれくらい?
例えば、10次締切の一般型の結果は、以下のとおりでした。
- 応募者数:4,224件
- 採択数 :2,584件
- 採択率 :約61%
ものづくり補助金では、厳正な審査があるため、しっかり準備して申請しましょう。
また、不採択となった場合でも、再チャレンジは可能です。
Q.人件費、事業所の家賃は補助対象経費となるの?
人件費や事業所の家賃は、補助対象経費となりません。
Q.基本要件を達成できなかったらどうなるの?
基本要件を達成できない場合、補助金の返還を求められるケースもあります。
【返還が必要】
「給与支給額+1.5%以上/年」の未達
「事業場内最低賃金≧地域別最低賃金+30円」の未達
【返還不要】
天災等のやむをえない理由で基本要件が達成出来なかった場合
付加価値が目標通り増加していないなど、給与支払額を増加させることが難しいと判断された場合
|まとめ

ものづくり補助金とは、国が中小企業などの事業者の設備投資をサポートする補助金です。
対象となっているのは、製造業だけではありません。そのため、革新的なサービスの開発、試作品開発、生産プロセスの改善を考えたときに、ぜひ検討してほしい制度の一つです。
補助金を使って、負担を抑えながら、事業の生産性を高める設備投資を考えてみませんか?
また、質問など何か気になることがございましたら、お気軽にご相談(無料)ください。
