起業・創業・開業時に使える「補助金・助成金」4種類

起業時の資金調達として、「補助金・助成金」は融資と同じくらい人気です。

基本的に返済不要なので、うまく活用できれば、強力な資金調達方法になる可能性があります。

しかし、「補助金・助成金」は数千種類もあるので、自社にあったものを探すのは大変な作業になります。

また、中には、申請に手間がかかり、費用対効果が見合わないものもあります。

そこで、今回は、採択率が高く、費用対効果のよい「補助金・助成金」を紹介したい思います。

目次

 1. 最大のメリットは返済不要
 2. 助成金と補助金の違いとは?
 3. 交付金と助成金の違いとは?
 4. 補助金・助成金の種類は大きく分けて4種類
  ① 経済産業省系
  ② 厚生労働省系の助成金
  ③ 自治体独自の補助金・助成金
  ④ その他の補助金・助成金
 5. 補助金・助成金のデメリットと知っておきたいポイント
 6. まとめ

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補助金・助成金とは、社会の役に立つ取り組みなどに給付されるお金のことです。

融資とは違い、返済が不要です。

融資は、資金をすぐに調達できて便利ですが、あくまで借金です。

いずれ、返済しなければなりません。

返済不要な資金という点が、補助金・助成金の最大のメリットです。

助成金や補助金は多数あるので、自社が使えそうな助成金や補助金をじっくり分析すると良いかもしれません。

そのとき、提示された要件に合うものを探すのではなく、要件に合わせて事業をうまく再設計することが重要です

また、補助金や助成金は、新しい制度ができたり、なくなったりしているので、全体的な傾向を知ることも大切になってきます。

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補助金と助成金をはっきり分けるのは難しいのですが、ざっくりわけると「雇用系が助成金」、「それ以外が補助金」と言われています。

それ以外の違いとして…

管轄
 補助金:経済産業省や地方自治体
 助成金:厚生労働省が多い

目的と傾向
 補助金:企業の事業拡大や生産性向上(DX推進など)で、収益を上げ、税収も増やしたい
  → 販路拡大、デジタル化など、売上UPを意識して申請しましょう。 

 助成金:雇用を増やし、労働環境を良くしたい
  → 従業員の賃金や環境の向上、スキルアップを意識して申請しましょう。

審査
 補助金:条件を満たしても、審査に通過しないと受給できない
     (事業計画書が重視される場合が多い。説得力のある説明が重要)
 助成金:条件を満たして申請すれば、給付されやすい

申請期間
 補助金:短く、一ヶ月程度しかない場合も
 助成金:長期間のものが多い

手続きの流れ
 補助金
 申請 → 計画の審査 → 交付決定 → 事業実施 → 事業完了 → 完了報告 → 入金
 
 助成金
 申請 → 計画の実施 → 支給申請 → 受給

注意点
 補助金
 ・受給できたとしても給付まで時間がかかる
 ・補助は事業に対する一部の費用のみのことも

 助成金
 ・雇用保険加入従業員が1名以上いる
 ・人気の助成金は早期終了になることも
 ・労働関連法規に違反しないこと

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さらに理解を深めるため、交付金・助成金・給付金の違いも見ていきましょう。

交付金と助成金の共通点

 ・審査が不要
 ・受給が決まれば返済不要

交付金と助成金の違い

 支給額
 ・助成金:一部支給
 ・交付金:全額支給が多い

 募集期間
 ・助成金:短期間
 ・交付金:長期間

 対象
 ・助成金と交付金:企業
 ・給付金:個人が申請できるものも多い
     (例)企業が対象:コロナ禍の「持続化給付金」
        個人が対象:失業給付金・育児休業給付金

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補助金には様々な種類がありますが、大きく次の4つに分類できます。

①経済産業省系
②厚生労働省系
③自治体独自
④その他

それぞれの特徴について見ていきましょう。

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経済産業省系の補助金は、起業促進、地域活性化、女性若者の活躍支援、中小企業振興、技術振興などを目的としています。

補助金を受給するためには、それぞれの募集要件を満たし、審査を通過しなければなりません。

合格率(採択率)は、補助金によって異なり、数%~90%程度まで幅があります。

また、同じ補助金でも、年に数回応募があるものだと、初めのほうが採択は高い傾向にあります

後半になると、予算の関係もあり、審査が厳しくなる場合もあるようです。

補助金や助成金を申請する場合は、早めにする方がよいでしょう

ものづくり補助金は、中小企業等が革新的な「サービス開発」「試作品の開発」「設備投資」などを行うときにかかる費用を支援してくれます。

申請方法は、インターネットを利用した電子申請です。
 ※GビズIDプライムアカウントの作成が必要
 ※ID・パスワードの発行まで1週間程度かかる

以下の表は、14次締切の結果です。申請した半数の事業者が採択されています。

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事業再構築補助金は、物価高騰などで苦しんでいる中小企業が新しいチャレンジに取り組みやすいよう支援し、日本経済の構造転換を促すことを目的としています。

たとえば、新分野展開や事業転換などに対して支援が受けられます。

申請方法は、電子申請です。

以下の表は、第9回公募の結果です。こちらも、約半数が採択されています。

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予算が大きいので、採択される可能性も高く、補助金額も大きいので、規模の大きなチャレンジができます。

また、補助金の専門家の指導を受けながら事業計画書を作成しなければならないので、新分野や新しい事業にチャレンジするには最適でしょう。

ものづくり補助金と事業再構築補助金は金額が大きく性質も似ているので、両方を視野に入れて事業計画書を策定する方もいます。

対象は、小規模事業者や特定非営利活動法人です。

地域の雇用と、産業の持続的発展が目的となっています。

事業者が制度変更に対応し、販路開拓や生産向上などを行うことを支援してくれます。

・最大200万円の補助金(補助率2/3)
・インボイス特例:免税事業者から適格請求書発行事業者に転換すると、補助上限が50万円UP
・通常の補助率2/3(赤字事業者は補助率3/4)

申請手続きは、基本的に電子申請です(郵送可)。

補助金が出るだけでなく、計画を作成や販路開拓を行う際に、商工会議所の指導や助言を受けられるのもメリットのひとつです。

生産性を上げるため、ITツールの導入を支援する補助金です。

日本では、DX化がまだまだ進んでおらず、デジタル化や自動化で働き方改革を進め、労働者の環境を改善すれば、生産性があがり、賃金があがる可能性があります。

費用の面でDX化に二の足を踏む会社も多いですが、IT導入補助で対応することもできます。

インボイス対応機器の購入費も対象になっているので、人気のある補助金です。

以下の表を見ても、半数以上の事業者が審査を通過しており、デジタル化を考えるときには検討したい補助金です。

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中小企業者の「事業承継」をきっかけとした、新しい取り組みを支援する補助金です。

「事業承継」とは、会社の経営を後継者に引き継ぐことです。
 ・法人:先代経営者の退任及び後継者の代表就任
 ・個人事業:先代経営者の廃業・後継者の開業など、後継者が事業を引き継ぐこと

申請方法は電子申請です。

補助額は
・経営革新事業(3型あり):100~800万円
・専門家活用事業(2型あり):50~600万円(上乗せ額:150万円)
・廃業・再チャレンジ事業(併用可):50~150万円

5次公募では、約60%が採択されました。

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雇用促進、労働者の職業能力向上などを目的として、厚生労働省が実施しています。

経済産業省系の補助金とは違い、要件を満たしていれば、基本的に審査で落とされることがありません

基本的には「雇用」に関連する助成金なので、起業時に人を雇用する計画があるときは、事前にチェックしておくといいでしょう。

「キャリアアップ助成金」は、有期契約労働者、短時間労働者、派遣労働者など「非正規雇用労働者」の企業内でのキャリアアップ等を目的としています。

正社員化や、従業員のスキルアップにより賃金を向上を目指したり、長期的に正社員として雇用促進しようと考えている事業者には使いやすいでしょう。

助成内容によって6種類に分かれています。

「正社員化コース」
「障害者正社員化コース」
「賃金規定等改定コース」
「賃金規定等共通化コース」
「賞与・退職金制度導入コース」
「社会保険適用時処遇改善コース」

申請は、所在地を管轄する都道府県労働局に提出します。

厚生労働省のホームページにある「雇用関係助成金支給要領」から支給申請書と添付書類をダウンロードできます。

対象は、景気の変動や産業構造の変化、その他の経済上の理由により、事業活動の縮小を余儀なくされた雇用保険の適用事業主です。

雇用の維持を図るため休業・教育訓練・出向に要した一時的な雇用調節の費用を助成してくれます。

受給額支払った休業手当負担額に対して)
 ・中小企業:2/3、中小企業以外:1/2 (8,490円/人が上限)
 ・教育訓練を実施した場合:1人1日あたり1,200円が加算

受給期間
 ・休業と教育訓練:最大100日(1年間)、または最大150日(3年間)
 ・出向:最長1年まで

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市区町村などの各自治体が、地域内の産業振興などの目的で、創業支援補助金や・助成金を実施していることがあります。

積極的に行っている自治体と、そうでない自治体とで温度差がりますが、実施している補助金・助成金がないか、チェックしておくといいでしょう。

東京都で創業5年未満の方、または創業や起業を計画している方が応募できます。

賃借料や人件費、広告費などが最大400万円(補助率2/3以内)の補助を受けられます。

創業して間もないころには、資金調達が難しい場合もあるので、助成金や補助金も活用していくとでしょう。

例年、年度内に2回(4月と10月)、申請期間は約10日間のため、申請を検討中の方は準備をしておきましょう。

大阪府内の事業者又は大阪府内で起業しようとする方で、起業や新事業の展開に必要な費用を100万円(補助率1/2)まで、補助されます。

事前に推薦機関による選抜と1次審査があります。

特例創業支援事業制度は補助金や助成金ではありませんが、これから創業を検討しているなら税金を安くするため活用してみましょう。

会社設立にかかる税金に対する制度で、登録免許税を半額にすることができます。

各自治が主催する創業講座に参加することが条件になっていることが多く、開催スケジュールを確認し、制度の申込をしましょう。

講座受講などの条件をクリアすると、証明書がもらえます。

会社設立の登記申請時に証明書を持参すると、登録免許税が半額になる仕組みです。

登録免許税は、株式会社が15万円、合同会社が6万円で、それが半額になるので、コスト削減におすすめです。

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上記以外にも、大手企業、政府系金融機関、各種の財団などが、独自に起業家への補助金・助成金制度を実施していることがあります。

採択されるのは、極めて優秀なビジネスプランを持つ数名の起業家という厳しい世界ではありますが、自信があれば、大きなチャンスをつかむチャンスになるかもしれません。

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補助金も助成金で知っておきたいのは、以下の2つです。

・原則「後払い」 → 融資でカバー
・認められる経費は決まっている

補助金・助成金は、融資のように「OK」となった時点で、入金されません。

そのため、補助金の申請が通過したら、補助金を担保にして、日本政策金融公庫などから融資を受けられる場合が多いです

つまり、補助金が振り込まれるまでの期間を、融資でカバーするのです

補助金の要綱に、補助金が融資の担保になることなどは、あまり記載されていません。

しかし、補助金と融資を融合させて活用することは、実際に行われているので覚えておくとよいでしょう。

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自身が起業する際に活用できる補助金・助成金があるかどうか、専門家への相談などを通じて、一度チェックしてみることをお勧めします。

また、補助金や助成金は自ら戦略的に「取りに行く」姿勢が必要です

事業に見合う補助金や助成金を探しに行くのではなく、どうすればもらえるのかを戦略的に考えましょう

人によっては、補助金や助成金の申請までに半年くらいかけて準備をする人もいるくらいです。

専門家の力を借りながら、どうすれば通りやすいかというポイントを押さえ、事業がどのように社会の役に立つのかをアピールできるようにしましょう。

弊社でも、補助金申請のサポートを行っておりますので、お気軽にご相談(無料)ください。