2024年4月から、東京都では新たな事業環境に即応した経営展開サポート事業(経営改善計画策定による経営基盤強化支援)(一般コース)という補助事業が行われています。
この補助金は、東京都で事業を行っている方にとっては、使いやすくメリットも大きいので、ぜひ知っておいて欲しいと思います。
目次
- 目的と内容
- 補助対象経費
- 補助上限額・補助率
- 業種ごとの活用例
- 申請方法
- 通年公募
- 審査
- 申請要件
- まとめ
|目的と内容

■ 新店舗・新サービスなど既存事業の深化・発展に使える
この補助金は、エネルギーや原材料、人件費の高騰が続く中で、中小企業の既存事業を深化・発展させ、経営基盤を強化することを目的としています。
そのため、事業者はこの変化を課題ととらえ、対応策として「事業自体の質を高めたり、現在の事業をもとに新たな事業展開を行う」取り組むことで、補助金を受け取るとができます。
例えば…
●飲食業・サービス業:現在の店舗をもとに新たな店舗を作るなど
●製造業や建設業:新たな機械を導入して、新商品・新サービスを提供するなど
このような取り組みが、経営基盤の強化につながると認められると、経費の一部が補助されます。
事業再構築補助金のように、全く違う業種・業態にチャレンジする必要がないため、ハードルが低い補助金となっています。

|補助対象経費

■ 注目は「不動産賃借料」
補助の対象には以下のような項目があります。
機械装置・工具器具費や委託外注費、設備等導入費、販売促進費は、他の補助金でも対象となることが多いのですが、注目したいのは「不動産賃借料」です。
●原材料・副資材費
●機械装置・工具器具費
●委託・外注費
●産業財産権出願・導入費
●規格等認証・登録費
●設備等導入費
●システム等導入費
●専門家指導費
●不動産賃借料
●販売促進費
●その他経費
新たに不動産を賃借する場合、その家賃が補助対象となります。
最長で1年間補助されるので、家賃が30万円の場合、30万円×12か月=360万円が補助金の対象となります。
家賃をカバーしてくれる補助金はあまりないので、この点は非常に魅力です。
|補助上限額・補助率

● 補助上限額:800万円
使いやすいと言われる「小規模事業者持続化補助金」が、上乗せ等を活用しても250万円なので、とても大きな額です。
● 補助率:対象経費の2/3分以内
|業種ごとの活用例

■ 製造業
● 最新機器の導入により、24時間無人で稼働できるように
● 試作品の作成に時間がかかるので、3Dプリンタの導入し自動で作成可能に
■ 情報通信業
● 最先端のデジタル技術を活用した、アプリ開発による業務効率化と事業拡大
● 在宅療養支援病院と地域医療・介護施設を結んだ地域医療包括連携のシステム構築
● 点検を効率化・低コスト化するための3次元計測器の導入
■ 建設業
● 重機ロボットや自律走行搬送ロボット、遠隔監視ロボットなどの導入で人手不足を解消
● 遠隔監視ロボットで、複数の現場を一度に確認すること可能に
● 資材の搬送など場面でロボットを活用し、従業員の負担を減少
■ 運輸業
●フォークリフトや顧客管理システム、経営管理システム、配車システムの導入
●デジタルタコグラフ(運行記録用計器)を導入し、手書きからボタン操作のみで記録や日報の作成が可能に
■ 卸売業
● AI技術を活用した生産ラインの自動化
● 経験や勘だけではなく、データに基づいた客観的な管理システムの導入(リアルタイムで監視・管理することで、品質を維持しながら、鮮度の高い商品を開発)
■ サービス業
● コミュニケーションロボットや無人搬送車、荷物搬送ロボットの導入
● 案内係としてコミュニケーションロボットを導入(AI機能を搭載したコミュニケーションロボットでは、顧客に応じておすすめの商品を提案する機能もあり、生産性向上だけでなく売上増加につながることも)
■ 小売業
● 販売促進のためのシステムや機器を導入(ECサイト構築や24時間販売する自動販売機など)
● 実店舗の商品(バックや衣料)を活かし、レンタルできる仕組みを構築
■ 飲食業
● 独自のデリバリーシステム(予約やその通知および顧客管理システムが一体となった独自のデリバリーサービス)を構築し、店内飲食とテイクアウトの両方を提供
● パンの個包装を行う機器を導入し、作業の自動化
● テイクアウト・デリバリー専用のホームページを立ち上げ、真空包装器や特殊冷蔵庫などの設備を導入
|申請方法

■ 電子申請
国が提供している「Jグランツ」で、電子申請します。
Jグランツを利用するには、「GビズID」でアカウント(gBizIDプライム)が必要なので、事前にアカウントを取得してからご申請ください。

|通年公募
2024年度は、通年で公募が行われています。
毎月募集しているので、自社のタイミングに合わせて申請できます。

|審査

■ 交付決定が速い
この補助金は、交付決定までの期間が短いという特徴があります。
交付決定までが速ければ、事業者にとってはビジネスチャンスを逃す事なく、スムーズに新たな事業を開始する事ができます。
- 補助金申請した翌月末に書類審査の合否が通知 → 翌々月上旬に面接審査
- 面接月の下旬には交付決定
つまり、補助金申請から約2か月半で交付が決定されます。
なお、書類審査と面接審査があるため、その対策に事前準備などは必要です。
|申請要件

申請要件はいくつかありますが、主なものは以下の2つです。
① 事業実施場所と本店所在地
本社や支店が東京都にあること。

② 「売上高減少」か「営業損失要件」
直近決算期の売上高が、「2019 年の決算期以降のいずれかの決算期」と比較して減少している、又は直近決算期において損失を計上していること
|まとめ

この補助金は、東京都に本店や支店がある事業主にとって、非常に使いやすい補助金となっています。
現在行っている事業の延長線上の取り組みに使え、不動産賃借料をふくむ、多様な経費が補助の対象になっています。
さらに、年間を通して募集しており、申請から交付決定までの期間も短いため、事業主のスケジュールにあわせた申請が可能です。
東京都で事業を営んでいる方には、ぜひ利用していただきたい補助金です。
自社でも活用できるのかなど、質問等ございましたら、お気軽にご相談(無料)ください。
